~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-

 しばらくも、ほぼ永遠と簡易的な罠(トラップ)が続いた。振り子状に揺れる大斧、壁から突き出す槍、床からむき出しになった針の山、頭上から適度な落石……あとエトセトラ。魔法使いにとって重要な魔道具が置いてあると言われる割に、コレではあまりにもナメ過ぎている。

「なんなのなんなのなんなのなんなのなんなのなんなのなんなのなんなのよ――――!!」

 ついには藍奈が怒りに任せて吠えた。麟紅も「お前は犬か」とツッコミを入れることも忘れてため息をついた。後ろから追いついたカーキーと朽葉も、いくら魔法使いにとって突破が容易い罠といえど数が多すぎたのか、少し息が上がっているのがわかった。

「まさか幻術を使われたりしてないでござるよな」

 不安げに、朽葉が呟いた。カーキーがそれに答えるが、その答えは、ノー。

「さっき“コクマー”のセフィラで魔術認識してみたが、反応がねぇ。もしこれが幻術だったら相当の魔術が使われてるはずだ。“コクマー”が反応しないはずがねぇ」

 カーキーの手に、天秤の絵が描かれ、隅に2と書かれたカードが握られていた。

「こりゃあれだな。要するに逆転の発想ってやつだな」

「は? どういうことだ?」

「こんな場所まで来るのは魔法使いぐらいだ。こんなところに来る魔法使いを追っ払うには相当の術式――簡単に言うと魔法を完成させる方程式だ――が必要になってくる。だがそんな術式の何百年と劣化しないものを組みたてりゃ、魔力がいくらあっても足りやしねぇ。だから逆に、魔力を一切必要としない罠を配置し、体力面で削ろうって魂胆だろうな」

 「そしておそらく」と話をつなげる。

「この先にゃここの魔力をふんだんに使った罠があるだろうよ」

 カーキーの言葉に、その場の全員が息を呑んだ。