~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-

 さらにしばらく歩くと、今度は鉄柵にぶつかった。

「おいおい、なんだかずいぶんテキトーな罠(トラップ)だな」

 麟紅が呟くと、藍奈もさすがに同感したか、「確かに」と頷いた。

「どうせならドラゴンの一匹二匹くらい用意しときなさいってゆーのよ」

「バッキャロー!! ダンジョンってーのは進めば進むだけ難しくなるからおもしれぇんじゃねぇか!!」

「いや、ここはそんなRPGちっくな場所じゃないでござるよ」

「で、結局この鉄柵どうすんだ?」

 麟紅が尋ねると、煽烙は手帳をぱらぱらとめくりながら答えた。

「どこかにスイッチがあるはずなんですが……」

「んな回りくどいことしてられっか!!」

「なら簡単ね」

 カーキーが吠えてすぐ、藍奈が前に出た。
 目を瞑り、息を整える。

「我は望む 我は願う……」

 藍奈の口から、ゆっくりと呪文(スペル)が流れる。それはまるで歌のように流れ、空気に溶け込んでいった。カーキーが、「おいおい、その呪文を唱えんのかよ……」と一歩身を引いた。

「我が理(ことわり)を謙譲(けんじょう)し 汝が理を享受(きょうじゅ)する されば我は汝となりて 汝は我が力となる 悪魔よ 自然よ 我に力を……!」

 目を開き、杖を前に突き出した。

「メルト! 融解せよ!!」

 杖の先から衝撃波のようなものが飛び出し、一瞬にして鉄柵を溶かしてしまった。

「何コレ、ホントに単なる鉄じゃない。勢い込んで損したわ」

 解けた鉄柵をくぐりながら、藍奈は呟いた。

「さ、先を急ぎましょ」