~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-

 長い廊下の後は、これまたむき出しのコンクリートでできた階段。螺旋、ではないがグルグルと下へ続く。

「おい」

 ふと、麟紅が前を行く煽烙に話しかけた。

「なんですか? 御冠神楽君。さすがに先生に向かっておい、はないでしょう」

「んなこた知るか。そんなことより俺が聞きてぇのは何でこんなところに『未完成のなんたら』いうスゲェもんが置いてあんだよ」

 朽葉が「教師に向かってタメはなかろう」と呟き、茜も賛同するように頷くがとりあえずなかったことにする。カーキーはもはや一人別世界。壁や天井に彫られた文字を見て、ほほぉ、とかはぁ、とか一人でブツブツ何か言っている。
 煽烙も煽烙で麟紅がタメ口なことに文句はないようだ。

「まぁ、一番の理由は学園長ですかね」

「そんなすごいのか?」

「並みの魔法使いじゃ手も出ませんよ。学園長がいる限り、この学園から『未完成の賢者の石』を持ち出そうなんて考える人はいないでしょう。学園町の下にも強力な魔法使いがたくさん揃っていますしね」

「ふぅ~ん」

 朽葉が「聞いておいてその反応はなかろう」と呟き、茜も賛同するように頷くがとりあえずなかったことにするのももう二回目である。
 「それと、」と前置きし、煽烙は話を続ける。

「もう一つは、“竜穴(りゅうけつ)”ですね」

「“竜穴”?」