エレベーターの外は、当たり前というべきなのか、真っ暗だった。エレベーター内から漏れる光だけが、今頼りにできるもので、うっすらとコンクリートで固められたむき出しの床が見える程度だ。しゃがんでその床に触れると、ひんやりとしたコンクリートの感触が伝わった。
「なんだか……寒いですね」
ぽそり、と茜が呟いた。しかし、あまりの静かさと暗さが重なって、その声は思った以上に響いた。
カーキーはそんなことは関係ない、と壁に手をあてブツブツ独り言を呟いている。
「ここは地下三十階ほどの位置にありますからね。太陽の光なんて届くはずもないですし、なによりずっと使われてないそうですから」
手帳に書き込まれた地図を見ながら、煽烙が言った。
「これから『未完成の賢者の石』がある場所まで行くわけなんですが、要所要所に罠(トラップ)が仕掛けてあるそうなので、そのときはよろしくお願いしますね」
「罠(トラップ)ぅ? どこにどんなんがあるのかわかんねぇのか?」
「残念ながら、学園長に尋ねたところ何十年も前の建造物なので、奥に『未完成の賢者の石』があること以外はわからないそうなんですよ」
煽烙のどうしようもない答えに、麟紅は思わず大きくため息をついた。しかし、煽烙は気にした素振りを見せない。
そこへ、藍奈が杖を掲げて前に出た。
「どうせ明かりとかないんですよね、先生」
「あぁ、そうなんですよ。ここには電気が通ってないんで……」
「ならあたしがなんとかするわ」
と言うと、どこからか漆黒のローブを取り出し、それを羽織った。
「ブライト、灯(あか)りよ」
藍奈が小さく呟くと、杖の先に声と同じくらい小さな火が灯った。
その明かりを見て、煽烙は笑んだ。
「ありがとうございますね。それでは皆さん、行きましょうか」
「なんだか……寒いですね」
ぽそり、と茜が呟いた。しかし、あまりの静かさと暗さが重なって、その声は思った以上に響いた。
カーキーはそんなことは関係ない、と壁に手をあてブツブツ独り言を呟いている。
「ここは地下三十階ほどの位置にありますからね。太陽の光なんて届くはずもないですし、なによりずっと使われてないそうですから」
手帳に書き込まれた地図を見ながら、煽烙が言った。
「これから『未完成の賢者の石』がある場所まで行くわけなんですが、要所要所に罠(トラップ)が仕掛けてあるそうなので、そのときはよろしくお願いしますね」
「罠(トラップ)ぅ? どこにどんなんがあるのかわかんねぇのか?」
「残念ながら、学園長に尋ねたところ何十年も前の建造物なので、奥に『未完成の賢者の石』があること以外はわからないそうなんですよ」
煽烙のどうしようもない答えに、麟紅は思わず大きくため息をついた。しかし、煽烙は気にした素振りを見せない。
そこへ、藍奈が杖を掲げて前に出た。
「どうせ明かりとかないんですよね、先生」
「あぁ、そうなんですよ。ここには電気が通ってないんで……」
「ならあたしがなんとかするわ」
と言うと、どこからか漆黒のローブを取り出し、それを羽織った。
「ブライト、灯(あか)りよ」
藍奈が小さく呟くと、杖の先に声と同じくらい小さな火が灯った。
その明かりを見て、煽烙は笑んだ。
「ありがとうございますね。それでは皆さん、行きましょうか」

