~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-

「そうだ、御冠神楽君」

 エレベーターに入るや否や突然話しかけられたので、麟紅はうっかり「んんあにゃあ?」とまったくもって理解不能な返事を返してしまった。しかし、笑っているのは他の四人だけで、煽烙は至って表情を崩さなかった。

「先に行っておきますよ、今回あなたを特別に呼んだのにはちょっとわけがありましてね」

 エレベーターの、5とB30しかないボタンのうち、B30のボタンを押しながら、煽烙は麟紅に言った。

「あなたの眼が、目的の物を回収するのに必要なんです。ですのでそれまで予知眼を使うのを避けてもらえますか? 時になって使えないとなっては私としても困るので」

「“コイツ”を使うのか?」

 麟紅が細く閉じかけた右目に触れると、煽烙は笑みながら頷いた。
 とにもかくにも目的のため、眼を使ってはならないのならそれに従うほかない。
 無言のエレベーターは、地下三十階までを一気に駆け下りた。