「あれ? 今何してんねん」

「見りゃわかんだろ。今度の日曜の仕事の打ち合わせだ。ほれ」

 とぼけた表情の常磐に、カーキーが資料を放り投げた。受け取った常磐は「日曜~?」とその資料を一通り眺める。
 と、一瞬その表情が凍りついた、ように見えたのは気のせいか。
 すぐさま常盤はその顔をいつもの表情に戻し、笑いながら資料をカーキーに返した。

「あ~、すんまへん、この日補習でさぁ」

「補習? 日曜だぜ?」

「いや、数学の秋正(教師の名前)に「お前このままだと進級できんぞ」って言われてなぁ、ヘッヘッヘ」

 笑い事じゃないだろ、とは思うが、要するにこのまま放っておくと単位不足で進級できないらしいので、テストで点が取れない代わりに授業数を増やさせられたらしい。なんだか同じクラスにいることが恥ずかしくなってくる男である。

「ってことで、今度の仕事のメンバーは俺と朽葉、それと茜ちゃんと藍奈と、それと依頼主からの直々の指名、麟紅。この五人だな」

 よし、とカーキーがその場を締めくくった。
 そうなのだ。なぜか、煽烙からの指定で麟紅は強制参加らしい。なんでも依頼物を手に入れるのに予知眼が必要なのであるらしい。RPGのイベントか、と思わずツッコミを入れそうになった麟紅であった。