「半妖を半妖って言って何が悪いの!!」

「だからそれは差別用語だって言ってるじゃないですか!!」

「うるさいわね! あんた少し黙ってなさい!!」

「黙りません! 夕凪さんに謝ってください!!」

「誰が半妖なんかに謝るもんですか!!」

「謝ってください!!」

「謝らない!!」

「謝って!!」

「イヤだ!!」

「ダメです!!」

 目の前でギャーギャー騒がれるとホントうざったいよな、とか何とか考えながら麟紅はしばらくその様子を眺めていた。常磐を見ると、肩をすくめて降参のポーズ。しょうもない。
 そして、いつの間にか事態は藍奈が謝るということで決着がついたらしい。そこら辺はやはり一個先輩というところか。

「仕方ないわね、すいませんでした! 夕凪さん!!」

「は! はひぃ!」

 どこか声が上ずっている。謝られる側が謝ってしまいそうな雰囲気だ。

「謝るだけじゃなくてこれからはその言葉を使わないようにしてください!」

「わかってるわよ! まったく! おい御冠神楽!!」

 妹のことか~? とボーっとしていると、不意に藍奈に胸倉を掴まれた。

「あんたのことよ!!」

「え、あ、あぁ……俺!?」

「あんたよ! そろそろ教えなさい!!」

 「な、何を……!」と必死に叫ぼうとする麟紅のからだをぶんぶんと揺さぶった。

「眼よ!! あんたのその予知眼のことについてよ!!」

 「な!」と常磐の顔が、「え!」と紫音の顔が一変した。茜は何のことかわからずに首をかしげた。

「『予知眼』!?」