その日一日の退屈な授業がすべて終わり、面倒な掃除も適当にこなし、後は帰りのショートホームルームだけだ。担任が来るのが遅いので、麟紅はひと眠りすることにした。寝てる間に煽烙が来ても、ショートホームルームが終わって帰りの挨拶を終わらせたころには起きるだろうし、誰かが起こしてくれるとも思っていた。
が、世の中そんなに思い通りに行かないものである。
眼が覚めたときにはもう教室はがらんとしていて、自分の他に誰もいないのではないかとすら思わされた。
こんな日に限って自分と親しくなった者たちは悪戯なのか冗談なのか、寝ている自分をわざと起こさずに帰っていってしまったらしい。
「ったく……薄情なやつらめ……いじめかコンニャロー……」
机に突っ伏して寝たために凝ってしまった首をパキポキと鳴らす。なかなかいい不協和音が出来上がったなと我ながら感心して、ざっと教室を見渡してみた。
先ほど“思わされた”と言ったのは、それが確かなことではなく雰囲気的にそんな感じがしたからである。実際後ろを見てみると、一番後ろの席で麟紅と同じように机に突っ伏して寝息を立てている者が……
「んあ?」
立てている者は、名前と同じ色に染まった髪を持つ少女、今日転校してきたばっかりの茜だった。机の上に広げた写真入りのクラス名簿の上に顔を乗せているあたりを見ると、どうやらクラスの顔と名前を早くに覚えるために、煽烙からそれを借りたようだ。
「しっかし……」
改めてスヤスヤと寝息を立てる少女の横顔を見てみた。やはりいつ見てもかわいい、と思った。
「ほんとにかわいい子は寝ててもかわいいんだな」
などと馬鹿らしい言葉を吐いたあと、このまま放っておいてもかわいそうだと思って、茜を起こそうとして手を伸ばした瞬間。
「!!」
が、世の中そんなに思い通りに行かないものである。
眼が覚めたときにはもう教室はがらんとしていて、自分の他に誰もいないのではないかとすら思わされた。
こんな日に限って自分と親しくなった者たちは悪戯なのか冗談なのか、寝ている自分をわざと起こさずに帰っていってしまったらしい。
「ったく……薄情なやつらめ……いじめかコンニャロー……」
机に突っ伏して寝たために凝ってしまった首をパキポキと鳴らす。なかなかいい不協和音が出来上がったなと我ながら感心して、ざっと教室を見渡してみた。
先ほど“思わされた”と言ったのは、それが確かなことではなく雰囲気的にそんな感じがしたからである。実際後ろを見てみると、一番後ろの席で麟紅と同じように机に突っ伏して寝息を立てている者が……
「んあ?」
立てている者は、名前と同じ色に染まった髪を持つ少女、今日転校してきたばっかりの茜だった。机の上に広げた写真入りのクラス名簿の上に顔を乗せているあたりを見ると、どうやらクラスの顔と名前を早くに覚えるために、煽烙からそれを借りたようだ。
「しっかし……」
改めてスヤスヤと寝息を立てる少女の横顔を見てみた。やはりいつ見てもかわいい、と思った。
「ほんとにかわいい子は寝ててもかわいいんだな」
などと馬鹿らしい言葉を吐いたあと、このまま放っておいてもかわいそうだと思って、茜を起こそうとして手を伸ばした瞬間。
「!!」

