なんだかその背中が寂しそうで。俺は咄嗟に















「もし、本当にお邪魔していいのならば、お邪魔させてください。」















そう、幸哉に声をかけていた。















それからだ。幸哉と仲良くなったのは。















4人で集まってたのがいつの間にか5人で集まるようになった。














松浦組組長を、いつの間にか幸哉と呼ぶようになった。















敬語じゃなくて、タメ口で話すようになった。















お互いの大切な人を紹介し合うようになった。















そんな年月が流れたある日。















「なぁ、敏之。」















珍しく2人で飲もうと誘われて、静かな幸哉の部屋で飲んでたら、真剣な声で















「カタギの女と結婚するにはやっぱり、頭は辞めた方が良いのね。」














と言ってきた。















「………幸哉お前…ようやく出来たのか?大切な人が。」















幸哉に親は居なかった。幸哉がまだ8歳、幸哉の弟がまだ3歳の時に抗争で亡くなったらしい。















8歳にして、頭にならざる追えなかった幸哉。弟を守るために頭になった幸哉。















弟を守る為に、大切な女1人作らなかったのに。















「もう、あいつも20になった。頭をやらせるのは早いとは思うが、俺が居なくてもあいつはもう十分強い。もう、良いだろうか。」














遠く空を見つめる、幸哉。















「…………はぁ。何悩んでんだよクソが。そんなの一択だろ?女取らなくてどーすんだよ。そんなんでお前の弟は怒んのかよ?」