組長さんの、息を飲む音だけがこの部屋に響いた。
















沈黙が続いて、その沈黙を破ったのは、私。
















「父が、父が何故突然この街を出ると言ったのか。それは今となっては私には分かりません。真実を知りたくないかと言われて、知りたくない。と言ったら嘘になります。
でも、」













でも、父が、

















「父が隠したかった事なのだろうと思います。自分が死ぬまで、誰にも話さないつもりで居たんだと思います。だから私は知らなくてもいい。けど、落とし前をつけなければいけないと私は思いました。だから、私に落とし前をつけさせてください。」

















車椅子から降りようとしたけど、侑翔くんに止められて、座ったまま頭を下げた。

















暫くの沈黙後
















「そうか………幸也は、死んでしまったのか……。そうか。誰にも、言わなかったのか。…………っ。くっ。」

















そっと、そう呟いて、涙を流し始めた組長さん。

















ぐっと、胸が痛めつけられる。
















侑翔くんも驚いたのか
















「っ。親父、俺の部屋にいます。では。」

















それだけ言って、さっきの部屋を出た。
















「悪いな、おとね。暫く俺の部屋に行く。親父が来たら、その時は真実が分かる。」
















そっと、笑ってくれた。