「おとね!!」














倒れた音がしたからか、私が起きた事に気づいた青山くん。















素早く近づいてきて、私の体を支えてくれる。















『おとね』どのくらいぶりに、聞いたんだろう。青山くんの私を呼ぶ声。
















「大………丈夫。」
















"グッ"と青山くんを押して、秋に近づく。
















「おとね、お前っ、青山組と……知り合いだったのかよっ。ぐっ」
















お腹に衝撃を食らったのか、苦しそうにお腹と鼻を押さえながら言ってくる。















「…………うん。この人は、私の…………本当に好きな人。」
















一瞬、言うのを躊躇った。叶わないし、何より秋はこんな私でも付き合ってくれた人だから。
















秋を傷つけたくは、なかったな。
















「秋は多分、私に別に好きな人が居るって分かってたんでしょ?」
















だから、私を束縛したんでしょ?
















目が合うと秋は悲しそうな目をして
















「はっ、あぁ。まさかこんな危ない奴とは思ってもみなかったけどな。」
















「っ。ごめんね。病院、行こっか。着替えてくるから。」
















立ち上がろうとすると、秋が私の腕を掴んで
















「良い。なぁ、おとね。」
















最初に出会った頃みたいな、なんか、スッキリしたみたいな、そんな顔をしてる秋。
















「ん?何?」
















なんか、涙出そう。でもここで泣いちゃいけない。

















「最後に、キスしてくんねーかな。お前から。」
















"最後"その言葉が深く胸に刺さる。
















「……………良いよ。」
















そっと秋に近づいてキスしようとしたら

















「させねーよ。」
















体が傾いて