違う。違う違う。
聞いてたのと何もかもが違う。
城野くんってもっと厳しい感じの人じゃなかったの?
話したことのないクラスメイトにいきなり告白されたのに特に拒絶もしなくて、図々しく下の名前で呼んでいい?なんて言われて、好きにしなよって…。
「城野ってば、紡のこと好きなんじゃないの?」
放課後のファミレスで、胡桃はそう言った。
「そんなことないでしょ。話したこともないんだよ?」
「話したことなんてなくても好きになったりもするわよ、人間なんだから」
「その理屈は理解できないけど……そういうものなのかな?」
「そうよ。しかも相手は紡だし?気になってたとしても不思議じゃないわね」
「そんな…」
私に限ってそんなことはない。
私のことなんて好きになってくれるわけない。
私はいつだって早輝のついでで、男子も女子も、寄っていくのは早輝の方なのに。
「あ、またネガティブなこと考えてる」
「うっ………」
さすが胡桃は私の心を読んでる。
「ねぇ紡。気分変えて、ストロベリーパフェ食べない?私、ダイエット中だから一人じゃ頼みづらくて。二人で食べれば罪悪感も2分の1ってね」
そう言って可愛くウインクする胡桃。
今でも十分細いのに、ダイエットなんてする必要ないんじゃ……。
けど、確かにパフェは食べたい。
「よし、頼もっか」
「さすが紡!大好き!」
胡桃が満面の笑みになって、テーブルのベルを押した。
