リライト


昨日までは彼の影がチラついていたとしてもあの人に恋煩いをして、どん底に落ちていた。明日にさえ希望を持てなかった。けれども今日、偶然でも偶発的でも彼はあたしを引っ張り出してくれた。様々なことがあった。おかげであの人の影は心から消えていた。

パンプスを見つめる、この湧き始めた感情に名前を付けるには時間が短すぎる。けれどもこれだけは絶対に言わなければならないだろう。

「…パンプス。ありがとう、凄く嬉しかった。こんなあたしでも前に進めそうな気がした。
だからこそ貴志くんの気持ちが見えない、ずっと嫌われてると思っていたから。だから正直戸惑ってる」

どんな反応するのかな、怖くなって目を固く瞑る。互いに暫しの沈黙。辺りは騒がしいのに静寂が訪れている錯覚。
そこで、すぅっと空気が割れる音、ため息が響き静寂にヒビが入る。

「未久さんが休み出して連絡も取れなくなったから、一回だけ俺あなたの家に行こうとしたんです。本当は香菜さんから無理矢理聞き出して。そしたら駅前で未久さん見掛けたんです、目の隈凄いのに目ェ腫れ上がってて頬も痩せこけて死相が出てました。ゾンビかと思った。」