「(…ん!?あたしなんで貴志くんにときめくとか…!?)」
内心焦るあたしと対照的に、あたしにはまだ気付かない様子でポールに背を預け珈琲片手にスマホを弄っている姿は、周りの女性の黄色い声があがってきそうだ。…撤回、なんだかキャーキャー言われてる。しかも声まで掛けられてるじゃないか。
栗色の長い髪には軽いウェーブがかかっていて、服装もいかに清廉なお姉さんみたいな人。小柄だし並んだらかなりお似合いかも…。
「おにぃさん素敵ですね、お暇なら一緒に遊びませんか!」
「いいですね~…って言いたいところですが、すいません。彼女の買い物待ちなんで」
そう言うと女の子にお辞儀をしてから離れこちらに向かって歩いてきた。
盗み見がバレないよう隠れようとしていたあたし、あっさりとまた手首を掴まれる。
「なに遊んでるんですか、終わったならさっさと来てくださいよ。あ、もしかして迷子になりました?」
「ち、違うわよ!たったいま着いたの!」
なんて言い合いの最中、先程の女性が凄い剣幕でこちら(というよりあたし)を睨みつけている。周りの女性も同様だ。視線が酷く痛く怖い。


