リライト


「すいません、言っている意味が…」

「先日、営業に来られた時貴志さんが」

愛されてますね~なんていいながら靴の汚れなどないかと丁寧に確認を進めてくれている。
なんで彼が?あたしのために?

「なんで…」

「〝きっとこの靴を履けば彼女は笑ってくれそう〟って嬉しそうでしたよ?」

脳裏に浮かぶのは何時ものみたいな、言い合いの時の嫌味ったらしい笑顔。そして、先日のあたしを追い掛けてきたときの焦った表情とシトラスの薫り。思わず顔が紅くなる。もしかして、もしかして、本当に彼は…。
品物を履き替え、店長さんにお礼を言って店から離れエスカレーターを急いで下る。早く彼に会って真偽を確かめたい。
自惚れかもしれないけれど、憎まれ口ばっかりなのは実は気持ちの裏返しなのか。本当に君は…。

遠くの方に見つけた彼の姿はそれはスラリとした身長と重なって少しばかりときめきを覚える。