いつものように嫌味を含んだそれを隠した爽やかで綺麗な満面の笑みで躊躇いもなく言い放つ。
その言葉に思わず固まり、手にしていた紅茶のペットボトルを落とす。
からんからん、と階段に転がって下へ落ちていくそれを見ながらも咄嗟に動くことか出来なかった。
本来はそうだった。あたしと彼はそんな親身に話し合う間柄なんかじゃなくて、会えばお互いいがみ合ってて犬猿の仲と同義な先輩後輩なだけ。
あまりにも心が弱り過ぎてたせいだ、すっかり彼の言葉に心を許しかけていた。
きっと彼の目的はあたしの弱味探りでしかなかったのだ。忘れていた涙がまた浮かび溢れ出す、言わなきゃ良かった。後悔の念がぐるぐる頭を巡る。
立ち上がり、彼を強く睨み付けて言い捨てる。
「それは良かったわ、喜んで頂けたようで…!なんならあることないことみんなに風潮しなさいよ、飲み会の話のネタぐらいにはなるでしょう!」
「ちょっ、未久さん!」


