「どっかにって…。けど貴志くん、あなたリアリストじゃなかったっけ?」
「恋愛を語る時ぐらいはロマンティストにならせてくださいよ」
心外だと云わんばかりに頬を膨らませている、けれども何故か不思議。気が紛れるのか、彼と話していると少しだけこころが痛くなくなっている。
そのタイミングではい、と手渡された紅茶。薄ら温くはなっているがまだ暖かみがある。
ありがとう、と受取りながら思わずぽつりと言葉を落とす。
「…あなたは知ってたの、ふたりのこと」
「いいえ。先輩たち隠すのうまいから、誰も知らないです」
あたしも秘めていた。けれども彼女も秘めていた想い。悲しい気持ち半分、納得してしまう気持ちも半分ある。
ひゅうと冷たい風が吹く。髪を靡かせながら遠くの空へ消えていく。同じようにこの気持ちも風にのって消えてしまえればいいのに。
「けどバカだよねあたし。知らなかったとはいえ、無意味な恋煩いをずっと抱えてて。
本当にバカみたい」
自嘲して笑いに変えてみたくても、どうも上手く笑えないようだ。
「でもまぁ、俺は未久さんが先輩に見事玉砕してくれて物凄くありがたいですけどね。だって…」
「恋愛を語る時ぐらいはロマンティストにならせてくださいよ」
心外だと云わんばかりに頬を膨らませている、けれども何故か不思議。気が紛れるのか、彼と話していると少しだけこころが痛くなくなっている。
そのタイミングではい、と手渡された紅茶。薄ら温くはなっているがまだ暖かみがある。
ありがとう、と受取りながら思わずぽつりと言葉を落とす。
「…あなたは知ってたの、ふたりのこと」
「いいえ。先輩たち隠すのうまいから、誰も知らないです」
あたしも秘めていた。けれども彼女も秘めていた想い。悲しい気持ち半分、納得してしまう気持ちも半分ある。
ひゅうと冷たい風が吹く。髪を靡かせながら遠くの空へ消えていく。同じようにこの気持ちも風にのって消えてしまえればいいのに。
「けどバカだよねあたし。知らなかったとはいえ、無意味な恋煩いをずっと抱えてて。
本当にバカみたい」
自嘲して笑いに変えてみたくても、どうも上手く笑えないようだ。
「でもまぁ、俺は未久さんが先輩に見事玉砕してくれて物凄くありがたいですけどね。だって…」


