「な~つき!音楽室で合唱曲の練習するから付き合ってくれない?」 「ぐすっ…綾…。」 「えっ!…夏姫…。」 「うぅ…ひっく。」 あたしから何かを感じとった綾は 何も言わず、手を引いて音楽室まで連れていってくれた。 音楽室は陽当たりの悪い場所にあって、少しカビ臭い。 “し~ん”と静かな音楽室に、あたしが鼻をすする音だけが響いていた。 綾に… 拓也の事が好きなこと。 昨日の夜、拓也に抱きしめられたこと。 でも今日の拓也の様子は、いつもと全然変わらないこと。 全てを話した。