好きだから傷付ける


家に帰った私は鼻歌交じりで
夕飯を作るいっくんの背中に尋ねた。

美空「ねぇ、いっくん。
恋をした事はありますか?」

樹「は?何だよ、突然。」

美空「いっくんは誰かの事を
好きになった事ある?」

樹「当たり前だろ。
美空といくつ違うと思ってるんだよ。」

美空「じゃあさ、流れに流されて
勢いで付き合った事ある?」

何かを察したいっくんは
火を止め私の座るダイニングテーブルの
向かいのイスに腰掛けた。

樹「まぁ、若い頃はな。
特別好きでもないけど
嫌いでもない奴に告白されて
まぁいいかって思って
付き合った事はあるけど。」