好きだから傷付ける


雅來「ごめん、滝川。
嫌だったか?」

私は首を大きく振った。
それが精一杯だった。

雅來「...付き合ってくれるのか?」

美空「うん。」

鬼藤くんはバイク雑誌を
放り投げると私の事を抱き締めた。

美空「鬼藤くん、皆、見てる...」

雅來「知ってる。見せつけてる。
滝川は俺の彼女だって。皆に。」

初めて知る事ばかりだった。

鬼藤くんの体が温かい事も。
誰かの腕の中が
こんなにも安心出来る事も。
好きって気持ちも。
幸せって気持ちも。
鬼藤くんが教えてくれた。