麻結を好きになったのは、兄貴が挨拶に連れてきたからだった。

兄貴はいつも麻結の話をしていた。歳を聞くと俺と同い年。正直、無理だと思ってた。

初めて会ったとき、おどおどしながら

「逢坂 麻結です…」

その時、俺には彼女がいた。でも、頭の中は「麻結」という女でいっぱいだった。

でも、兄貴の婚約者。兄貴のもの。

俺が彼女の心に入れない。