破滅的な点数だった。
いやもはや破滅したい。

窓から入ってくる風に煽られた紙切れ…基、テストの答案用紙が、手の中で踊る。

「ゔあぁぁぁぁ」
「初楓、教室中が引くようなうめき声やめて。」
親友、松永彩葉の忠告に、机に突っ伏したまま覗いた腕の隙間から、驚いた顔をしたクラスメートが見えた。

その中に1人、飛び抜けて整った顔をした男子が、笑いをこらえて肩を震わせている。

桐矢嘉…学年の王子的存在。
そんな王子と何故か仲のいい私、谷崎初楓は、今年光園高校に入学したばかりの16歳だ。

高校1年の7月中旬。
やれ夏休みだ宴だとはしゃぐ前に、私たちには試練がある。

それはもう十中八九承知だと思うけど
…期末テストだよ。

「谷崎ぃ〜、生きろ〜。せめて俺の解説聞き終わるまでは生きろ〜。」

どうやら我らが担任には血が通ってないらしいな。
なんて無慈悲な…。
しぶしぶ顔を上げた私を確認し、担任の高田先生は今回のテストの解説を始めた。

数学の二次関数の解説。

判別式がどうだとか、平方完成したらこうなるとか、呪文のようなワード達が、先生の高めの声にのって走り去っていく。

窓際の後ろから2番目の席で、理解半分のまま黒板の解説をノートに書き写す4時間目だった。