「あ、いや、ちょっと知り合いがいたから」
 
「え?空川って、この学校昨日来たばっかりじゃない。内向的だって言ってたし、友達ほかにいたの?」
 

後ろからの声に振り向くと、そこには俺の机に座った黒西と、その横で俺を見ている水田がいた。
 

「いや、お前たちと別れた後に出会った子がいてさ」
 
「出会った子って…。どこで?」
 

水田が後ろから質問してくるが、俺は再び前を向くと、外の景色を見ながら答えた。
 

「音楽室。すごく純粋にピアノを弾く子」
 

数秒間の沈黙が流れた。
 

え、え?俺、なんかいけないこと言った?
 

戸惑いながら黒西と水田の方を見ると、二人とも瞳をぐらつかている
 

「…空川って、なんか変わった奴だよな」
 

沈黙を破ったのは、伊藤だった。
 

「変わった奴って…どういうことだよ?」
 

はっきりいって、自分が変人扱いされる心当たりはどこにもない。