心の中に奏でる、永遠の向日葵




九か月後。
 

「そのまま、火葬場ですか?」
 

冬も終わり、だいぶ暖かくなったころ、俺は制服を着て、葬式の会場まで来ていた。
 

「ええ。ありがとね、日向君。来てくれて」
 
「いえ。当たり前です」
 

文化祭が終わり、十月に入ったころ。
 

向日葵は、学校をやめて、病院に入院することになった。
 

いよいよ体が、大変な状況になってきてたからだ。
 

俺は毎週お見舞いに行き、年越しも向日葵と病室で過ごした。
 

しかし、三月の終わりごろ、向日葵は昨日まで話せていたのに、突然様態を急変させ、そのまま帰らぬ人となってしまったのだ。
 

ショックだった。向日葵が息を引き取った後、向日葵の姿を見て、俺は号泣し、一週間部屋にこもりっきりだった。
 


でも、どこかで覚悟もしていた。


毎週お見舞いに行くたびに、向日葵は口調こそ元気だが、日に日に細くなってきていた。


二月ごろには寝たきり状態になっていたし、『もうすぐ…』と、嫌でも思ってしまっていたんだ。


葬儀では、俺は、夏休みの間に、向日葵と約束した通り、お揃いで買ったピアノの置物を、向日葵のお母さんからもらい納棺した。
 

納棺するとき、俺は初めて、向日葵の化粧をした姿を見た。
 

綺麗、と、向日葵が亡くなっているのも忘れて、思わず見入ってしまうほどに、向日葵は美しかった。