最後に入った。もう、指がどう動くとか、そんなものはどうでもいい。 向日葵にとっても、ここは一番の難所のはずだが、相変わらず、さっきよりも嬉しそうに、指を動かしている。 俺も、笑いながら、楽しく指を動かし続けた。 そして、一緒に、最後の一音を、優しく押した。 俺は、ペダルを離す。向日葵の腕をとると、二人で観客席に挨拶をした。