今の俺は、違う。
向日葵のおかげで、俺は変われた。それを見せてやるんだ。
山口さんが戻ってくると、先生の声が、今までで一番大きく聞こえた。
「これで、最後になります。二十番、木下向日葵さん・空川日向さん。演奏曲は、パッヘルベル作曲、カノンとジーク ニ短調。連弾です」
俺は、ドアノブに手をかけた。
「行くぞ」
俺の言葉に、向日葵はより強く、俺の腕を握った。
ドアを開けて、俺たちは舞台に、足を踏み入れた。
外は暗くなり、照明が眩しいくらいに、舞台を照らしている。
よほどの人が集まっているのか、中には席が取れず、立っている人もいた。
たくさんの人がいるんだな、とより緊張が高まるばかりだ。
それでも、俺はピアノの前まで着くと、向日葵を椅子に座らせて、俺も左隣に座る。
すると。
「…あの子、盲目…?」
「…隣って、あの機械ピアニスト…?」
