野外ステージに着くと、しっかりとスーツを着こなしている、男の人や女の人が、既に前席を取って、座っていた。
たぶん、大学職員の人だろう。
それでも、ピアノコンサートは人気らしく、行う時間も遅いため、生徒の人たちも結構来るのだそう。
さらに、そのまま文化祭の締めくくりとして、花火を上げるため、見る場所をとっておき、ついでにピアノを聴こう、という人もいるらしい。
比較的、俺たちの町は寒い地域に入るので、ピアノコンサートが終わる六時ごろには、うっすらと暗くなるし、うってつけのスケジュールなのだろう。
四時半になり、見事全員集合している。
やっぱり、どの人も気合が入っているのか、男の人は、俺みたいなありきたりなタキシードよりも、もっと高そうな服を着たり、中には結婚式のような服を着ている人もいる。
女の人も、引きずるようなドレスを着たり、花などのガラが目一杯つけられていて、まさに豪華絢爛。
向日葵のドレスが、一番地味に感じる。
「あと三十分で、コンサートが始まります。皆さん、それぞれ指を慣らしておいたり、緊張をほぐすためにも、周りの人と話し合って、リラックスしてみてください」
小島先生はそう言ってくれたが、誰も話す人はいなく、皆食い入るように楽譜を見たり、指を懸命に動かしている。
緊張のせいか、それともやっぱり、ライバル心のせいか。
