ピアノと向かい合っていたのは、一人の女の子だった。
胸まで伸ばした焦げ茶色の髪。しっかりとした二重瞼に、これでもかと白い肌。
とても可愛らしい顔だったが、俺が驚いたポイントはそこじゃない。
女の子は、とても楽しそうにピアノを弾いていたのだ。
楽譜も立てかけられてなく、自分の指も鍵盤も見ていない。
どこか遠くを見たり、上を見たりしながら、テレビを見ながら爆笑してるんじゃないかというくらいに、とびきりの笑顔で弾いているんだ。
でも、音だけ聞くと、素晴らしいの一言に尽きる。
一体、彼女は何者なのか?
彼女自身、俺の存在に気づいていないみたいだから、俺は邪魔をしないように、足音をたてず少女に近づく。
目の前まで来て、彼女の指の動きを覗いた。
彼女の白魚のような指は、鍵盤の上を、楽しそうに動いていた。というか、踊っているみたいだ。
でも、音は何一つ間違ってはいない。
