大切な仲間




学校が始まった。


月曜日で、向日葵も学校に来ておらず、文化祭直前という事で、俺は放課後も、飾りつけなどを作ったりしていた。
 


水田、伊藤、黒西は全く変わっていなく、みんな文化祭でスカウトされるために、それぞれの部活で忙しかったんだそう。
 


「いやぁ、ほんと俺、何のために夏休み過ごしたんだろ?」
 

伊藤が、看板に色を塗りながら、何度目かの愚痴をこぼす。
 

特に伊藤は、芸術大学にスカウトされるべく、一カ月もかけて、見たら皆、思わず倒れてしまうくらい、素晴らしい絵(本人いわく)を、完成させたらしい。
 

「何回言えば気が済むのよ?それでまた、スカウトされなかったらされなかったらで、私たちに愚痴を言うんでしょ?」
 

黒西も、飾りの花を作りながら、伊藤に正論で言い返す。
 

「ばーか。俺の絵を見たら、皆スカウトしたくなるに決まってるんだよ。これで決まらなかったら、そいつらは、即刻大学職員を辞めるべきだね」
 

どっからの自信だ、と思うが、俺は黙々と飾りを教室につける。
 

「でも、僕は伊藤が羨ましいよ。僕はまだあんまり進路も決まってないし、剣道を生かせる職業って、あんまりないからね」


水田は、相変わらず優しい口調で、後ろからそんなことを言っている。