「お前が歩いていく道の先に、どうしようもない未来が待ってるかもしれなくても、そこにたどり着くまでの道を変えることは、いくらだってできる。何もせずに歩いていくも良し。ちょっと遠回りして、色んな経験をしながら、楽しく歩いていくも良し。考え方を変えれば、お前にだって無限の可能性が広がっているんだ」
　

そう、向日葵にだって、希望がある。例え、『死』という結果が変わらなくても、その間を変えることは、いくらだってできるんだ。
　

俺は、向日葵の横に立った。
　

すっかり雨は止んで、黒い雲の端切れから、無数の日差しが、雨に濡れても元気に咲いているひまわりに、光を与えていた。

ひまわりに付いている、雨の雫までもが、光に照らされ燦然と輝いていた。
　

「向日葵、コンクールに出よう。ちょっとくらい遠回り道をしても、神様は怒らないよ」
　

向日葵は、また泣き出した。涙をボロボロ流しながら、手で顔をゴシゴシとふくのに、それでも涙は、止まることを知らない。
　

それでも、向日葵は小刻みに、「うんうん」と頷いていることは、何よりも嬉しかった。