心の中に奏でる、永遠の向日葵




「宣誓、我々選手一同は、本日の大会において、正々堂々と戦うことは、基より、育てていただいた、たくさんの皆様に成果を示し、感謝を示し…」
 

「…なんか、長くね?」
 

伊藤が横から囁いてくる。


確かに、普通の体育祭の時のように、簡単な選手宣誓よりかは、ずっと長い。
 

「剣道の大会は、このくらい長い宣誓なんじゃないのか?」
 

とりあえず、適当に返しておく。
  

「…全身全霊をもち、礼節をわきまえ、最後まで戦い抜く事を誓います!」
 

パチパチパチパチ
 

選手たちを含め、観客席の人が、一斉に拍手をする。

体育館にあまりにも大きくこだますので、思わず耳を塞いだ。やっぱり慣れない。
 

しかし、それでオープニングは終わりなのか、選手たちは散り散りに散っていく。
 

やっと始まるのか。そういえば、水田は一回戦目から戦うと黒西が言っていた。


きっと、すぐに見れるだろう。
 

…あ。
 

そういえば、俺、剣道のルールを知らない。
 
どうやって得点が付くのか、どうしたら勝ちなのか、全く知らない。
 

「…なあ、伊藤。お前、剣道のルール知ってるか?」
 

ダメもとで、横に座っている伊藤に聞く。
 

「もちろん!『面!』って言って、相手を叩けばいいんだろ?」
 

…ダメだ、こりゃ。
 

思わず、額に手を当てる。


「あのね、和仁。そんな単純なルールなわけないでしょ?」
 

「え?マジで?」