長年ずっと一緒にいれば、お互いの感情だって、分かってしまう。
だからこそ、伊藤は黒西の絵を描いたり、こんなに切ない表情をしているのではないだろうか。
「なあ、お前さ。もしかして…」
「水田の練習見てきたろ?厳しいよな。俺も一回見に行ったんだけどさ、夜の八時九時までの練習も当たり前って言ってたんだ。俺だったら絶対に耐えられないわー」
もうこの話題は終わりにしよう。そう言うかのように、無理な話題の変え方をする。
俺は、一瞬動揺してしまったが、すぐに頷いた。
「ああ。すごい、厳しそうだった。全国大会、行けるといいな」
「だな。行けるといいな」
澄んだ明るい青空だったのに、なぜかひどく濃い青色に見えてしまったのは、なぜだろう。
