「それに、探してるってことは、まだ諦めてるわけではないってことだ。これから、空川は色んなものを見つけて、ゆっくりと自分自身の悩みを解決していくんだよ」
伊藤の優しい声に、俺は肩の力が抜けた。
「…お前、意外といいこと言うんだな」
「なっ。なんだよ、意外って!言い方に皮肉があるぞ!」
伊藤はそう怒鳴ったかと思うと、また俺の顔に筆をつける。
「やったなー」と言って、俺も他の筆を持ち、伊藤の顔につけ返した。
そして、二人で笑いあう。やってることは完全に小学生なのに、笑いが止まらない。
すると。
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俺はすっと笑顔を消すと、耳を研ぎ澄ました。
「どうしたんだ…」
「しっ」
俺は、指を唇につけながら、伊藤の言葉を遮って耳に集中を掛ける。
…やっぱり。
聞こえる。音楽が上の方が聞こえる。
ほんの少しだけど、微かに吹奏楽の音が聞こえた。
一つ一つの星空がたくさん集まって夜空を明るくするように、たくさんの音が集まって一つの素晴らしい音楽を創り出す。それが吹奏楽だ。
「…そっか。この上って音楽室だから、吹奏楽部が練習してるのか」
すると、伊藤はぎょっとして、何かすごいものを見たような、俺を瞠した。
「な、なんだよ」
不気味に思って俺が聞き返すと、伊藤は「いや」と前置きして、首を掻く。
