あっという間に向日葵の家に着くと、俺は立ち止まる。
「ありがとう。俺は、ここで帰るよ」
「え?もうすぐ昼だし、昼ごはん食べていけば?」
「いいよ。向日葵のお母さんにも、迷惑だろ?」
正直、向日葵に招待されたのは嬉しかったが、やっぱり家に入るのは気が引ける。
ところが、次の瞬間、すぐそこからガチャっとドアが開く音がした。
びくっとしてドアの方を見ると、そこに立っていたのはピンクのエプロンを着て立っている、綺麗な女の人だった。
しっかりとした瞳に、向日葵と同じ焦げ茶色の髪の毛。分かりやすいくらいに、向日葵に似ていた。
「中まで聞こえていたのよ。日向君、だっけ?迷惑じゃないし、よかったら家でご飯食べていけばどうかしら?もう出来てるのよ」
声まで向日葵に似ている。
とはいえ、突然の誘いに混乱し、慌てて向日葵を見るが、向日葵はもちろん目が見えないため、俺の視線には気づかない。
「…あの、なんかすみません。いいですか?」
とりあえず図々しくないように、最大限に謙虚な態度で話す。
すると、向日葵のお母さんはキョトンとしたと思ったら、にっこりと笑う。
そこに、一瞬向日葵の面影を覚えた。
「なんで日向君が謝るの?いいのよ、そんなに改まらなくたって。さ、入って、入って」
