向日葵は、生まれたときから盲目じゃなかった。六歳まで、しっかりと目が見えていた。
だったら、突然今まで見えていた世界が真っ暗になってしまったという事だ。
六歳という幼い年齢で、突然世界が真っ暗になって、向日葵は平気だったのか?
「…辛かったよ。今まで当たり前だったものが、突然当たり前じゃなくなったんだから」
俺の心の中の疑問を読んだように、向日葵は答えた。
小さく笑っていたが、声は少し切なく感じて、俺は心臓がきゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。
「ずっと、ずーっと。『目が見えない、目が見えない!』て、泣きわめいたのを今でも覚えてる。でも、でもね…」
チュッチュ!チュッチュ!
向日葵の言葉を遮って、俺たちの目の前を突然雀たちが羽ばたき始めた。
な、なんなんだ、急に…。
「わあ、この鳴き声は雀だね!目の前で飛んでるよね?感激ー!」
戸惑ってる俺とは対照的に、向日葵は今までの話なんか忘れたように、子供みたいに盛り上がってる。
ところが、向日葵のその大きな声に驚いたのか、雀はそのままバタバタと羽を羽ばたかせて、広大な青い空へと飛んで行ってしまった。
「あーあ、ちょっと大きな声だしすぎちゃったかな…」
向日葵はそう言って、肩を落とす。
『でも、でもね…』この先、向日葵は何を俺に伝えたかったのだろう。
