でも、すぐに取ってつけたような笑みを浮かべると、「あ、そ、そっち?」と、一応明るい声で返してくれる。
でも、声も少し震えているし、やっぱり動揺してるんだ。ちょっと、いけない質問をしてしまったのだろうか。
「ごめん。答えるのが嫌だったら、別にいいんだよ」
できるだけ優しい声で言った。嫌だったら答えなくていいっていうのは、本当に思ってたことだったし、誤解されたくなかった。
でも、目を伏せると、首を横に振った。
「ダメだよ。約束したからには、破っちゃダメだよ」
俺に言ってるのか、はたまた向日葵自身に言ってるのか、俺には分からなかった。
向日葵は、「ちょっと長い話になるんだけど…」と、前置きをすると、両手を前で組んだ。
「…私ね、六歳の時まではきちんと目が見えてたの。だから、空の色とか、そういう基本的なものだったら、どんなものかはちゃんと分かるんだよ」
驚いて声が出そうになり、慌てて手で口を押えた。
「このひまわり畑も、五歳の時くらいからずっと来てたから、どれだけ綺麗かはちゃんと分かるんだ。でも、六歳の時に交通事故にあって、目の視力を摘出しなくちゃいけなくなってさ。そこで、失明したの」
『失明』という単語が、なぜかどの言葉よりも、大きく聞こえてくる。
