でもこの事件が終わっても、逸らしてしまった。目線は向けることがもうないだろう。
気まずくはない。でも何故か嫌だった。

「可奈ー!」
相変わらず元気な声のようだ…ってえ!?

「私になんの用よ?」
目線を逸らす。

「見せたいものがあって!」

「ん?何よ?って…」

「わわっ!?」
トカゲ!?嫌だーっ!
ぎぼぢばぶいぼのぼっでぼないべ…
(気持ち悪いもの持ってこないで…)

「ヤモリだよ?」

「知らんわそんなの!捨ててきてよ!」

「えー嫌だよぉ、飼っても別にいいよね?」

「お好きにどうぞ!でも私には一生見せないでっ!」

「えー?めっちゃかわいいじゃん!
こういう『かわいい』ものって女子、結構好きだよね?」

「こういう系じゃない!かわいくない!
気持ち悪い!見せないで!」

「ふーん…ちぇ、喜ぶと思ったのに。」

「絶対喜ぶもんですか!」
女子をなんだと思ってんの!
虫とかのマニアしか喜ばないわ!

「じゃあヤモリ、クラスに持ってくわ。」

「早く持っていって!早く!走って!」

「お、おう!わかった!」

「…」
虫嫌いなの、わかってる?
馬鹿じゃねぇの!?

「おーい!」