そのとき突然、ひょっこりと、ミオの通う高校の制服を着た男が、俺とミオの間に割って入った。
オシャレに着崩された制服。ネイビーに染められた髪と、左耳には三つのピアス。
元からパッチリとしているっぽい目はメイクをしているのか……黒のアイラインによって、より印象深く彩られていた。
「ちょ、ちょっと、たっちゃん……!」
「なぁに。こういうのは最初が肝心なんだから、きちんと言わなきゃダメだよ」
言いながら腕組みをした手の爪には、綺麗なネイルが施されている。
──これが噂の、"たっちゃん"らしい。
ミオの親友であり、もしかしたら……俺と同じようにミオに恋心を抱いている男だ。
「女を待たすような男は、ろくなもんじゃないんだから」
だけど、なんと言うか……。
こう言ったらなんだけど、想像していたのと少し違った。
着ている制服も男子のものだし、性別は間違いなく俺と同じ男なんだろうけど、雰囲気とか口調とかは、どことなく女の子っぽい。



