「ほんと、ユウリってノーテンキだよな」
だけど、そんな俺の甘えた思考も全て、ナルにはお見通しだったらしい。
「な、なんだよそれ」
「ハァ……だってそうだろ。お前が片想いしてるその子には、男の親友?だかがいるっていうのに、よくもまぁそんなに呑気に構えていられるよなーと思って」
相変わらず漫画片手にサラッと痛いことを言うナルに、返す言葉を失う。
──ミオには特別仲の良い、異性の友達がいる。
脳裏をよぎるのは、ミオと公園で話しをしたときのことだ。
『私ね、親友がいるんだ。その子も男の子なんだけど、その子はカッコイイっていうより、可愛いって言葉のほうが似合う男の子で……』
ミオはそのあと、"たっちゃん"は自分よりも女子力の高い男だけど、いざというときは頼りになるのだとも言っていた。
「……でも、ミオの口ぶりだと、ミオはその"たっちゃん"を男として意識しているふうではなかったし、俺とナルみたいな特別仲の良い友達っていう関係だって言ってたから……」
自信のなさが声に現れた。
それをまた瞬時に察したらしいナルは漫画に落としていた目を上げると、眉根を寄せて俺を睨んだ。



