『電気消すね?』
「は、はいっ……」
画面の向こうでユウリくんが電気を消して、私も慌てて部屋の電気を消した。
そうしてベッドの中に潜り込むと、頭の隣に携帯電話を置いて横になった。
枕のフワフワした感触が、頬に触れる。
真っ暗な画面には、同じように横になったユウリくんが写っていて、ドキドキせずにはいられなかった。
まるで、すぐ隣でユウリくんが寝ているみたいで……。
息遣いさえ聞こえてきそうで、落ち着かない。
『なんかさ、これって……隣で寝てるみたいで、ヤバイね』
囁くように言ったユウリくんは、視線を斜め下に逸してしまった。
音のない部屋の中では、私たちの呼吸音と声だけがやけに鮮明に聞こえて、胸の鼓動まで相手に聞こえているような気持ちになる。
『こういうの……なんていうんだっけ。……あ、そうだ。"リモート同棲"って言うらしいよ』
「リモート、同棲?」
『……うん。クラスの奴が、彼女としたって前に言ってたんだけど。なんか、こうやって通話繋いだまま、一日とか過ごすんだって。そうすると、まるで同棲気分を味わえるって』
「そう、なんだ……」
確かに、ここにいないのに本当に今、ユウリくんと一緒にいるみたい。
それを一日中、通話を繋ぎっぱなしにしたら、そんな気分も味わえるのかもしれないけれど……。



