『……ダメだ。全然進まない』
だけど、一時間が経った頃だろうか。
唐突にそう言ったユウリくんに驚いて顔を上げると、ユウリくんが机に腕を伸ばして項垂れているのに気がついた。
「ご、ごめんね、私、気づかなくて……っ。何か、邪魔してた!?」
慌てて画面越しに謝ると、項垂れたままのユウリくんがチラリとこちらを向いて、拗ねたように口を開く。
『んーん。俺がつい、ミオばっかり見ちゃうだけ』
「え……」
『ミオが気になって、集中できない。だから、俺自身の問題』
ぽつりと言ったユウリくんを前に、身体が熱を持つのがわかった。
ほんのりと赤くなっている耳に気づいてしまえば、なんと返事をしたら良いのかもわからなくなる。
『でも、ミオはちゃんと勉強してて……。俺ばっかりミオが気になって、集中できないのがちょっと悔しい』
な、なにこれ……!
画面越しに上目遣いで見つめられて、そんなことを言われたら、もう私まで集中できないよ。



