『あー、と。……ごめん。もう電話して大丈夫だった?』
「う、うんっ、大丈夫! 夕ごはんも食べ終わったし、ちょうど部屋の片付けも終わったところで──」
と、そこまで言いかけて、慌てて口をつぐんだ。
わ、私のバカ……! 別に、部屋を掃除したことは、わざわざ言わなくてもよかったのに……!
「あ、そのっ、い、今のは……っ。い、いつもね? 部屋が汚いってわけじゃなくて、あの、その……っ」
必死に言い訳を探したけれど、後の祭りだ。
そもそも普段からお母さんの言うとおり、きちんと部屋の掃除をしていれば、こんな恥をかかずにすんだんだ。
「うう……っ」
『ふ、はっ。さっきからミオ、慌てすぎ。大丈夫だよ。……っていうか、俺も学校から帰ってきて、ダッシュで部屋の掃除したし』
「え……ユウリくんも?」
『うん。……だって、ミオとテレビ電話するのに、散らかった部屋とか見られるの、恥ずかしいじゃん。ちょっとでも良いところ、見せたいし』
そう言うと、手の甲で口元を隠したユウリくんは画面の向こうで、ふい、と顔を逸らした。
代わりに写った耳は、ほんのりと赤く染まっている。



