俺の「好き」は、キミ限定。

 


「とりあえず、木登りはもっと大きくなってから……」

「あ……ちょっと待って、怪我してる」

「え……」


そのとき、一連の出来事を後ろで見守っていたミオが、あることに気がついた。

見れば確かに、助けた男の子は右肘を擦りむいていて、赤く血が滲み出ている。


「ほら、こっち来て」


ミオはその子の手を引くと、近くに備え付けられていた水道まで連れて行った。

そうして水を出して傷口を洗うと、鞄の中から絆創膏を取り出して、男の子の肘に貼り付けた。

可愛らしい、黒猫の絵のついた絆創膏だ。

貼られた男の子は複雑な表情で、自分の肘を眺めていた。


「これでよし。家に帰ったら、お家の人にちゃんと消毒してもらってね?」


けれど、ミオがニッコリ笑うと、男の子は顔を真っ赤にしてから「ありがとうございます」と頷いた。

──ちょっと、イラッとするのは俺の気のせい?

うん。多分、気のせいじゃないし、俺の心が狭いのが原因だろう。