「う……うん、俺にもいるよ。ナルって言うんだけど、頭も良くて、めちゃくちゃカッコイイ奴」
「へぇ、そうなんだ」
心に引っ掛かりは覚えたものの、今のミオの口ぶりから察するに、その"たっちゃん"という親友は、本当に友達という枠内の相手なんだろうと感じた。
ミオが、たっちゃんに特別な感情を抱いているようには聞こえなかったし……。
たっちゃんはどうかわからないけれど、ミオはたっちゃんを本当に親友だと思っているみたいだ。
「たっちゃんが聞いたら、悲鳴を上げて喜びそう」
「なんで?」
「たっちゃんね、イケメンウォッチングが趣味なの。だから、ユウリくんとその……ナルくん? カッコイイふたりが並んで歩いてるのを見たら、絶対キャーキャー悲鳴を上げて喜ぶよ」
「ふふっ」と面白そうに笑ったミオは、また暗に俺を「カッコイイ」と言ったことに自覚はないらしい。
もうほんと、色々反則だと思うんだけど……。
「あ……ごめんね」
「え?」
「なんか、たっちゃんの話ばっかりしちゃって……。え、と。お互いのことをよく知ろう、だから、お互いのことを話さなきゃいけないんだよね……」
俺が黙り込んでしまったから、自分が間違ったことを話したと思ったんだろう。
ミオが慌てて謝って、次の話題を探そうとするから、俺も慌てて口を挟んだ。



