俺の「好き」は、キミ限定。

 


「ユウリくん?」

「……っ、や、ごめん。なんでもない」


慌てて取り繕ったものの、やっぱりミオの顔が見ていられなくて視線を前に逸してしまった。

……好きな子に、カッコイイとか言われて浮かれない男なんていないと思う。

っていうか、ミオ、今のが無自覚だとしたら、相当、手に負えないんだけど……。


「……私ね、親友がいるんだ」

「え?」

「その子も男の子なんだけど、その子はカッコイイっていうより、可愛いって言葉のほうが似合う男の子で……」


ぽつり、ぽつりと話し出したミオの声は落ち着いていた。

反対に俺はドキリとして、返す言葉に困ってしまった。

……ミオに、男の親友がいる?

え、それって俺にとってのナルみたいな存在ってことだよな?

つまり、相当仲が良いってことで、それこそナルに忠告されたみたいに、俺には勝てる見込みがないってことじゃ……。


「私の親友は、たっちゃんって言うんだけどね。たっちゃんは、私よりも女子力が高いんだよ」

「う……ん? 女子力?」

「うん。男の子だけど、私よりもめちゃくちゃ女の子なの。でも、いざというときはビシッと言ってくれて、頼りになって……。ユウリくんにも、そういう特別仲の良い友達っている?」


ニコニコと笑いながら尋ねるミオを前に、悶々とした気持ちが一瞬で疑問に変わった。

女子力が高い男の親友?

それってどういう相手なの……とは、目をキラキラ輝かせているミオを前にしたら、なんとなく聞きづらい。