「え、と……まず、何から話せば……」
ぽつりと言ったミオが、言葉を止める。
触れそうで、触れあわない。
つい先程、ミオを抱きとめたことが嘘みたいだ。
けれど微妙な距離を保ったままなのに、不思議とミオが座っている右側だけが熱い気がする。
すぐ隣にミオが座っているというだけでドキドキして、落ち着かなかった。
チラリと隣を見るとミオはほんのりと顔を赤く染めながら、石のように固まっている。
「……ふっ」
「え?」
「いや……。そんな、俺相手にガチガチにならなくても大丈夫だよ? ……って、俺も緊張してるから、人のこと言えないけど」
固まっているミオが可愛くて、つい、笑ってしまった。
するとミオは俺の言葉に目を丸くしてから、とてもやわらかな笑みを浮かべた。
「緊張……しちゃうよ。だって、ユウリくんみたいにカッコイイ男の子と話すの、初めてだから……」
「……っ」
ふにゃりと笑いながらそんなことを言うミオに、今度は耳まで熱くなる。



