「ミオは……ナルのこと、どう思ってる?」
「へ……?」
「ミオから過去、ナルに酷いことを言われてショックだったって話を聞いて、俺はもしかしたらミオは当時ナルのことが好きで、それでそういう相手に酷いことを言われたから未だに忘れられないのかなとかも考えて……」
眉根を寄せて、まつ毛を伏せたユウリくんは、段々と語尾をすぼめた。
「……それでもし、今もミオがナルのことを好きなら、先に正直に言ってほしいと思ったんだ。それでも俺はミオのことを諦めるつもりはないけど、でもやっぱり、予めそれなりの覚悟だけでもしていたいと思って」
キッパリと言い切ったユウリくんは、俯いた顔を上げると真っすぐに私を見つめた。
「ミオが誰を好きでも、振り向いてもらえるように頑張りたい。だから、俺にほんの少しでもいいからチャンスをもらえないかな? でも、もしそれが迷惑だって言うなら、今ハッキリ言ってもらって全然大丈夫だから──」
「ふふ……っ」
「……ミオ?」
ああ、もう。やっぱりユウリくんは、ユウリくんだった。
いつだって私の気持ちを優先して、考えてくれる人。
私にはもったいないくらい、優しい人だ。
そう思ったら自然と笑みが溢れて、頬には温かな涙が伝った。
きっと、こんなに素敵な人にはもう二度と出会えない気がする。
でも、もう誰にも出会えなくても、ユウリくんがそばにいてくれるなら、十分だ。



