「私と、話したかったって……」
「俺……ミオに、謝らなきゃいけないことがある」
「謝らなきゃいけないこと……?」
「……うん。前にここでミオに聞いた話を、全部ではないにしろナルに話した。勝手に話して、本当にごめん」
前にここで、私から聞いた話……。
それはきっと、私とお姉ちゃんのことだろう。
私がこれまでずっと、お姉ちゃんと比べられることに劣等感を抱いていて……。過去、トウヤくんに言われた言葉に酷く傷ついたという話のことだ。
「大丈夫だよ。その話はさっきトウヤくんからも聞いたし……今はもう、なんとも思っていないから」
ユウリくんを見上げて微笑むと、ユウリくんは穏やかな笑みを浮かべて「そっか……」と息を吐くように呟いた。
寄せては返す波の音が今は酷く心地が良い。
繋がっている手から感じる温もりも心地が良くて、自然と顔が綻んだ。