「……っ、あ」


けれど、ミオのいる学校へ向かう途中で、俺はあるものを見つけて足を止めた。

これ──。

アスファルトの片隅で、キラリと光る淡いブルー。

海を閉じ込めたみたいなそれは間違いなく俺がミオにプレゼントした、イヤリングだった。

『アンタから貰ったイヤリングを片方落として、長時間、雨の中を探してたみたいなの。そのせいで酷い風邪を引いて、四日間も学校を休んで……』

慌ててそれを拾った俺は、ギュッと手のひらで握り締めた。

──雨の中、一人でこれを必死に探すミオを想像したら、胸が苦しくてたまらなかった。

早く、ミオのところに行こう。

今は一秒でも早く、ミオに会いたい。

ふと顔を上げた先の空には、白い月が浮かんでいる。

もう数時間もすれば夜が訪れて、星が(またた)きはじめるのだろう。

そんな今日という日が終わる前に、俺は彼女に会いたくて……。

拾ったイヤリングを握り締めたまま、ただガムシャラに、ミオがいるであろう学校に向かって走り続けた。