俺の「好き」は、キミ限定。



「ダ……ダメ、かな?」

「それはその、別にいいですけど……。でも教えるって言っても、どうやって?」


つまり彼は、この本を貸してほしいと言うのだろうか。

確かに、男の子が買うにはハードルの高い本かもしれない。

けれど予想の斜め上を行く彼は、再び思いもよらないことを口にする。

──この本のことを、もっと色々教えてほしい。

その提案は私には、到底思いつかない方法だった。


「た、たとえばだけど。その本に書いてあることを、二人で実践するとか、どうかな?」

「この本に書いてあることを二人で実践する?」

「う、うん。ほら──確か第一節は、"運命の出会いを演出しよう"とか、なんとかだっただろ」

「……はい」


言われて改めて、私は抱えていた本へと視線を落とした。

【恋を叶える12のレッスン】

この本の内容を、彼とひとつひとつ実践する?